世捨て人

昼間、NHKの「のど自慢」など見てたら、袈裟を着た僧侶が出てきて、結婚して幸せになろうよ〜♪みたいな歌を歌いだしたので驚いた。あげくに会場に応援に来てた可愛い奥さんと抱きかかえられた小さな男の子にステージから愛を叫んだりして、浮世の幸せを謳歌してる様子なのでした。幸せになりたいのは、誰でも同じであるけれど、仏の教えを説くような立場の人には、この世の幸せとは別の価値の中で生きていてもらいたいもの。そうでなくては、浮世の幸せに迷い振り回される衆生の心をどうしてつかめよう。そういう点で生涯異性に触れず一人で修行に励む世捨て人のような僧や尼僧が日本にいたら、私などそれだけで従っていってしまいそうな気がする。
魅力的な世捨て人(風)といえば、BSで時々再放送してる勝新太郎座頭市シリーズでしょう。市さんは、自分の幸せなどとっくに捨ててるように見える。そうして、この世の価値観になど迎合しないのがカタルシスの所以です。お坊さんも、座頭市スナフキンやホームレスみたいな世捨て人だったら、その説く教えの説得力も違ってきやしまいか。少なくとも諸行無常は、そういう人の口から聞いてみたい。さぞかしカタルシスを与えてもらえそうな。