鮮やかで生々しい夢を見て、誰かに話したくなる。が、他人の夢を聞かされるほどつまらぬものは無い。夢は、ほとんど見なくなったけれど、昔は夢日記を付けるほどよく見た。海や建物の夢をよく見て、定番だという空飛ぶ夢は見た事が無かった。リチャード・ブローティガンという人の小説の中に、夢にとらわれて日常生活はヘマばかりの主人公が出てきて自分と似てる気がした。海の果てや空の彼方が将来の夢ではなくて、夕べの夢の端とつながってるように思えて、ボンヤリする事があった。夢が、集合無意識とつながってるなら繰り返し見た海の夢は遠い先祖の太古の記憶のカケラだろか。そう思えばあの強い郷愁も切ない気分も納得できる。
前世療法というものがあり、催眠により記憶を出産以前にまで誘導する事が出来るのだとか。石だったころまで記憶を誘導できた人がいるという話を聞いて、石がいったい何を思うのかと尋ねたら、波打ち際で他の石と擦れ合うのが快感だったと答えたと教えてくれた。笑った。