とりとめもなく

勤め先の足の悪い男の人が、杖も車椅子も使わず上体を大きく揺らしながら移動する姿を見るたびに、見てはいけないものを見るような妖しい気分になる。好意をもつ事に関して言えば、こういう肉体の多少の不自由さは決してハンデでは無い。恋人の体にある醜い傷あとやアザなどは、それゆえ愛しくさせるというもの。
色気とは、バランスを崩したところに宿るという。バランスが悪いという事は、そこに心をとどまらせてしまうという事だから、単に視覚で惹かれるよりもよほど深い吸引力になる。人間性などというもの関しても、少しくらいの弱さや愚かしさは、よりその人を懐かしく思い返させるもの。真面目に努力して親切に振舞って、人柄の良い人で片付けられるほど、色気から遠い生き方はないのではないか・・・・と、これは自戒なのか自己肯定なのか・・・・。
自然体が、よいというお話です。